06年2月19日に茨木のり子さんが亡くなった。わたしの愛読書は2冊、『言の葉さやげ』(1975花神社)と『詩のこころを読む』(岩波書店ジュニア新書)である。
『言の葉さやげ』で、茨木さんは詩の朗読について、さまざまなよみの可能性を議論していた。なによりも重要なことは、詩は目でよまれるばかりではなく、声でよまれたときに、その魅力を発揮するということだ。この点について、茨木さんはよく分かっていた人だと思う。その証拠には、茨木さんの詩には、思わず声に出してみたいものが多い。というより、そんな詩ばかりである。
近ごろ、ポッドキャスティングのブームで、「朗読」の作品がさまざまなかたちで売られるようになった。だが、この分野はまだまだ、芸術としては未成熟である。素人芸のような作品が商品化されつつあるが、まずは、もっともっと大ぜいの人たちが自ら、文学作品を声に出してよむことだ。それが、今後の芸術作品ともなる「朗読」の裾野を広くすることになる。
そこで問題なのは、いわゆる文学作品の著作権問題だ。いまだに声に出してよんだものをネットで公開することが、まるで作品のコピーであるかのように考えるアタマの堅い人たちがいる。だが、音声の表現は文字言語とは次元を異にするものである。どんどん詩をよんで、ネットで公開してほしい。無料ならば問題はない。ついでに、よんだ詩のありかとして、出版物の表示をするなら、出版社にとっても著者にとってもいい宣伝になるはずだ。
ちなみに、わたしは今日、以前にアップした茨木のり子「六月」を下記の二つのサイトにアップした。緊急のため、昨年4月の「花粉症」の声のままであるが、ご容赦くだされたい。
ケロログ「
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