文科省が小中学校の子どもたちの読解力が低下したことを危惧して国語以外の科目でも「読解力」の教育をすることを提案するそうだ。
その内容が読売新聞(2005.10.7)に次のように紹介されている。
「プログラムでは、学校での重点目標として、〈1〉文章や図表を理解・評価しながら読む力、〈2〉自分の考えを書く力、〈3〉文章・資料を読む機会や自分の意見を述べたり、書いたりする機会――の充実を挙げた。」
こんな大まかな目標で果たして能力がつくのだろうか。一と口に読解力といってもさまざまなレベルがある。その基礎となる能力の養成が小中学校の教育では不十分なのである。それは一言でいうなら文法の教育である。しかも、これまでの学校教育で行われているような、品詞の分類と活用で終わるような単語レベルの文法ではなく、構文論――文の組み立てとつながりの文法である。
わたしは何よりも大事だと思うのは、まずしっかりと文を読む力だ。文章ではない。句点でまとまる文を正確に読むことである。最近、テレビでは日本語の知識を試すクイズ番組が増えている。これも単語レベルの知識にとどまっているものが多い。いくら単語の知識を増やしても、それだけでは読解力はつかない。まして、ものごとについて評価したり、考えを記述するためには、文によって考えを組み立てる能力が必要である。
実践として有効な文のよみ方は「印しつけ」「記号づけ」、そして、文章の理解を目指した「表現よみ」である。これらについて、これまでさまざまな角度から書いてきた。今、とくに注目しているのは、ヤマカッコで文中の名詞句や埋め込まれた思想をくくっていく方法である。これについても、今後、具体的な実践を報告するつもりだ。