これはシリーズで、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(使用テキストは青空文庫)の表現よみのために少しずつ記号づけをしていくものです。まず原文をよんで、それから記号づけされた文をよんでください。記号づけの記号の基本は
第2回を参照してください。
●原文
ジョバンニは窓のところからトマトの皿(さら)をとってパンといっしょにしばらくむしゃむしゃたべました。
「ねえお母さん。ぼくお父さんはきっと間もなく帰ってくると思うよ。」
「あああたしもそう思う。けれどもおまえはどうしてそう思うの。」
「だって今朝の新聞に今年は北の方の漁は大へんよかったと書いてあったよ。」
「ああだけどねえ、お父さんは漁へ出ていないかもしれない。」
「きっと出ているよ。お父さんが監獄(かんごく)へ入るようなそんな悪いことをした筈(はず)がないんだ。この前お父さんが持ってきて学校へ寄贈(きぞう)した巨(おお)きな蟹(かに)の甲(こう)らだのとなかいの角だの今だってみんな標本室にあるんだ。六年生なんか授業のとき先生がかわるがわる教室へ持って行くよ。一昨年修学旅行で〔以下数文字分空白〕
(3 家)
●記号づけ
ジョバンニは
/窓のところから
トマトの皿(さら)を
とって
/パンといっしょに
/しばらくむしゃむしゃたべました。
「ねえ
/お母さん。ぼく
/お父さんはきっと
/間もなく帰ってくると思う
よ。」
「ああ
/あたしも
そう思う。
けれどもおまえは
どうしてそう思う
の。」
「
だって/今朝の新聞に
「今年は北の方の漁は
大へんよかった
」と書いてあった
よ。」
「ああ
/だけど
ねえ、お父さんは漁へ出てい
ないかもしれ
ない。」
「
きっと出てい
るよ。お父さんが
/監獄(かんごく)へ入るような
^そんな悪いことをした筈(はず)が
ないんだ。この前お父さんが持ってきて
/学校へ寄贈(きぞう)した
^巨(おお)きな蟹(かに)の甲(こう)らだの
/となかいの角だの
/今だってみんな標本室に
あるんだ。六年生なんか
/授業のとき
/先生がかわるがわる教室へ
持って行く
よ。一昨年〔おととし〕修学旅行で〔以下数文字分空白〕
太字のアクセントは高アクセントではなく、強アクセント、イントネーションがあがる二段目は緑字にしました。渡辺知明の「銀河鉄道の夜」のよみは「
別館【表現よみ作品集】」にあります。